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宮部みゆき『ソロモンの偽証』感想。登場人物の家族関係に共感!

宮部みゆきの長編ミステリー小説『ソロモンの偽証』の感想です。

 

文庫本で全6巻もある読み応えのある作品で、連休に一気読みするのにおすすめです!

 

ストーリーは、

クリスマスの夜に男子中学生が学校の屋上から転落死する。学校や警察は自殺と決めつけるが、同級生が突き落としたのを見たという告発状が送られたのをきっかけにマスコミも巻き込み事態は混乱していく。そんな中、主人公・藤野涼子ら同級生たちは、自分たちで事件の真相を知りたいと、学校内裁判を始める。

というもの。

 

公式サイトもあるので詳しくはこちらへ⇩

www.shinchosha.co.jp

 

宮部みゆきの長編ミステリー小説は、謎解きそのものよりも登場人物の生い立ちやそれに影響を与えた社会情勢などに焦点があてられているイメージがあります。いわば起承転結の「承」がめちゃくちゃ長い感じです。

この作品も「承」の部分がとにかく長い。1~6巻のうち、1巻の後半から6巻の前半くらいまで「承」、6巻の後半で一気に「転」、「結」って感じです。

 

事件の真相そのものは中盤くらいでなんとなく想像がつきます。結末を読んで、あーやっぱりなって思いました。

 

それよりも、私がこの小説を読んで引き込まれたのは登場人物たちとその家族関係です。メインの登場人物は自殺した中学生の同級生たちで、その家族との関係が描かれています。

 

一見普通そうに見えても問題を抱えている家庭、自分勝手に子供を支配しようとする親、過保護すぎて暴走する親、色々です。

 

私がそうなのですが、親とあまりいい関係を築けていない人が読むと、登場人物たちの家庭の中に「あー、うちと一緒だな」と共感できる家庭が一つはあると思います。

 

私が「うちと一緒だな」と思ったのは、自殺した中学生・柏木卓也の家庭です。

 

柏木卓也は子供の頃から病弱で、両親は卓也のためにいい病院を探し回り、中学生になって卓也が不登校になったら、父親は卓也のために仕事をやめてようとさえする。こんな感じで両親の頭の中は常に卓也のことばかりです。

 

卓也には4歳年上の兄・宏之がいます。宏之は両親からいつも、お兄ちゃんだからしっかりしなきゃ、とか、卓也と違って健康なのだからわがままいうな、みたいなことを言われ続けてきました。

 

宏之は、最初は卓也を心配しつつも、だんだん卓也がうっとうしくなってきます。卓也は両親の気を引くためにわざと病弱なふりをしてるのではないかと考えるようになり、ある日卓也に暴力をふるってしまいます。当然両親は卓也をかばい宏之を責めます。

それをきっかけに、宏之は自分はこの家族と一緒にいるとダメになる気付き、家を出て祖父母と暮らすようになる。そうして数年後、卓也は自殺してしまう。

 

この宏之・卓也兄弟が、私と似てるなと思いました。

私には3つ上の姉がいますが、姉は中・高校生の頃は警察のお世話にもなるような問題児でした。両親は姉のことでいつもケンカばかりで、同時期に父が浮気してたこともあり、家の中の雰囲気は最悪でした。

 

私はというと、自分で言うのも何ですが絵に描いたような真面目でおとなしい優等生でした。成績もいいし、部活も頑張るし、生徒会役員もやったり。

でも、外面は優等生でも中身は内向型人間。はっきり言って学校はしんどい場所でした。

 

こんな時、家が落ち着く場所だったら良かったのですが、私にとって家もしんどい場所でした。両親は毎日ケンカだし、そもそも私の話を聞いてくれる雰囲気は全くない。

 

母の口癖は「普通でいい」でした。私まで姉のように面倒になったらもう手に負えない、おとなしく普通にしてくれ!ってことです。

たまに学校生活の悩みを母に話すこともありましたが、「そんなこと私に言われても困る」ってよく言われました。姉のことでいっぱいいっぱいの母にとって、私の悩みなんて「そんなこと」レベルだったんでしょうね。。。

 

多少状況は違えど、兄・宏之の立場が私と似ていて、宏之の気持ちや行動にすごく共感しました。親への不満と、親の関心を独占するきょうだいへの苛立ち。

特に宏之が家を出たいと切実に思ったところが同じで、私も高校を卒業したら何があっても地元から離れた大学に行くと決めていました。

 

私のように親との関係に悩んでる人は、自分と同じ気持ちの人がいると知れただけでも心が軽くなります。小説の中とは言え、私と同じ気持ちの宏之を見てちょっと気持ちが楽になりました。

 

親との関係って、中学生~高校生くらいの時期にちゃんとした信頼関係が築けるかが大事です。

それができないと大人になっても心から親と仲良くはなれないです。私はもう親と心から仲良くなるのは無理だなと思うし、別にそれでいいと思っています。

 

宏之がこの後両親とどのような関係を築ていったかは分かりませんが、弟の死をきっかけに両親と少し打ち解けられたようでしたので、もしかしたらいい関係を築けているかもしれません。

 

 

以上、ちょっと重くなりましたが、『ソロモンの偽証』の感想でした😃

 

純粋に宮部みゆきの濃厚な長編ミステリーを楽しもうと思って読み始めたのですが、まさは自分の家族関係を思い返すことになるとは思いませんでした。

謎解き以外の部分にも魅力があるのが、宮部みゆき作品の魅力ですね!

 

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